メダカを飼うための準備
メダカを飼い始める前に、適切な飼育環境を整え、必要な器具や用品を揃えることが大切です。ここでは、メダカ飼育の準備について解説します。
メダカ飼育に適した環境
メダカは日本の気候に適応した生き物なので、屋外でも屋内でも飼育可能です。屋外飼育の場合は、日当たりと風通しの良い場所を選びましょう。ただし、真夏の直射日光は水温上昇の原因となるので注意が必要です。
屋内飼育の場合は、水温が安定しやすく、エアコンの風が直接当たらない場所に水槽を設置します。また、部屋の明かりだけでは光量が不足するため、水槽用ライトの使用をおすすめします。
メダカ飼育に最適な水温は、20〜28℃です。冬の屋外飼育では、水温が下がるとメダカは冬眠に入ります。
メダカ飼育に必要な器具・用品
メダカ飼育に必要な器具・用品は以下の通りです。
- 水槽または水鉢(プラ舟、めだか鉢など)
- エアポンプとエアーストーン(屋内飼育の場合)
- 水槽用ライト(屋内飼育の場合)
- ヒーター(冬の屋内飼育の場合)
- 水温計
- エサ(人工飼料、生餌など)
- 水質調整剤(塩素中和剤など)
- 網(メダカ捕獲用)
メダカの飼育環境や、飼育スタイルに合わせて用品を揃えましょう。
水槽の設置方法
水槽や水鉢は、直射日光が当たらず、水温変化が少ない場所に設置しましょう。また、水槽や水鉢の大きさは、飼育するメダカの数に合わせて選ぶことが大切です。目安として、メダカ1匹に対して1リットルの水量が必要とされています。
エアポンプ、ライト、ヒーター、水槽ファンもしくは水槽クーラーなど
飼育水の準備
水道水をそのまま使うと、水道水に含まれる塩素がメダカに悪影響を及ぼすことがあります。そのため、飼育水は、水道水を汲み置きして塩素を抜くか、市販のカルキ抜きを使って調整します。
汲み置きする場合は、水を張った容器に24時間以上静置し、塩素を揮発させます。カルキ抜きは2種類あり、ハイポと呼ばれる結晶のものは使う指定された量を水に溶かし、30分ほど待ってから使用します。液体タイプのカルキ抜きは入れてから1分~3分程度で中和されるのですぐに使用ができます。
水槽に水を張ったばかりの時はバクテリア剤を合わせて使うとメダカの生存率をグッと引き上げることができるよ
メダカの種類と選び方
メダカを飼育する際には、自分の好みに合った品種を選ぶことが大切です。また、健康的なメダカを選ぶことで、長く楽しく飼育することができます。ここでは、メダカの種類と選び方について解説します。
人気のあるメダカの品種
現在、日本国内には100種類以上のメダカが流通しています。これらは改良メダカと呼ばれ、ニホンメダカを品種改良して作り出された観賞用のメダカになります。一方でニホンメダカは、日本の河川や水田に生息する野生のメダカのことを指します。
くれぐれもアクアショップで購入した改良メダカを自然界に放流しないようにしましょう。環境破壊です!!!
人気のある代表的な改良メダカ
- ヒメダカ:体色が黄色やオレンジ色のメダカ。改良メダカの代表的な品種。
- 楊貴妃メダカ:体色が濃いオレンジ色で、ヒレや尾びれが紅白に発色するメダカ。
- 幹之メダカ:体色が白く、背中の一部が青白く発色するメダカ。
- 白メダカ:全身が白く、優雅な印象のメダカ。
健康的なメダカの選び方
メダカを購入する際は、健康的で元気な個体を選ぶことが大切です。メダカは毎年大量に販売されるため、どうしても虚弱体質な個体もいます。弱い個体を購入すると家に持ち帰った時点で瀕死というケースもあるので注意が必要です。以下のポイントを参考に、健康的なメダカを選びましょう。
- 体色に艶があり、鱗が剥がれていないこと。
- ヒレが破れていたり、傷がないこと。
- 餌を積極的に食べ、活発に泳ぐこと。
- 他のメダカと同じような大きさであること。
メダカのオスとメスの見分け方
メダカの繁殖を考えている場合は、オスとメスを見分ける必要があります。以下のポイントを参考に、メダカのオスとメスを見分けましょう。
オスの特徴
- 背ビレと尻ビレが四角く、平行四辺形に近い形状をしている。
- 体型がスリムで、メスと比べてやや小さい。
メスの特徴
- 背ビレと尻ビレの形状が丸みを帯びている。
- 体型がずんぐりしており、お腹が膨らんでいる。
特に、繁殖期のメスは卵巣が発達してお腹が大きくなるため、オスとの見分けがつきやすくなります。
メダカの日々の世話
メダカを健康に育てる(生存率を上げる)ためには、日々の世話が欠かせません。ここでは、適切な水温管理、エサやりの仕方、水槽の水換えや掃除の仕方、水槽に入れると良いものについて解説していきます。
水温管理は命を左右する
メダカは季節に合わせて生活リズムを変える生き物です。例えば、水温が15度を下回れば活動量が低下し冬眠へとシフトしていきます。一方で水温が高いと活動量が増えるため、餌をよく食べる一方で水を汚しやすくなり病気や突然死を招くリスクが上がるといったことがあります。
水温に対して柔軟性がある魚と思われがちですが、水槽の水温が日々変動するとストレスになり、病気や突然死を引き起こす原因になるので、季節に合わせて適切な水温をキープすることが大切です。
- 春から秋にかけては、水温が20〜28℃に保たれるように管理する。
- 真夏の水温上昇に注意し、直射日光を避ける、水の量を増やすなどの対策を行う。
- 秋から冬にかけては、徐々に水温が下がるのを見守る(屋外飼育の場合)。
- 冬は水温が下がりすぎないように、ヒーターを使用する(屋内飼育の場合)。
急激な水温変化はメダカにストレスを与えるため、季節に合わせて徐々に水温を調整することが大切です。
エサの種類
メダカのエサは、人工飼料と生餌の2種類があります。餌の種類はメダカの大きさや成長過程、季節に合わせて決めると良いでしょう。例えば、メダカの稚魚ならミジンコやゾウリムシを与えて餓死しないようにします。
体が3cmほどになり、真夏のピークが過ぎて涼しくなってきたら人工飼料を与えて栄養を摂らせて冬を越せるように肥えさせます。餌の中には稚魚〜大人でも食べられる物もあるので面倒な人は餌を統一するのも良いでしょう。
人工飼料
- メダカ用に開発された、栄養バランスの取れたエサ。
- 顆粒状やフレーク状など、様々なタイプがある。
- エサやりが簡単で、保存がきく。
生餌
- ミジンコ、ゾウリムシなどの微生物。
- メダカの天然のエサに近く、栄養価が高い。
- 与える量の調整が難しく、入手や継続的な培養が必要。
餌やりの頻度と量
エサは1日1〜2回、メダカが食べ切れる量を与えるようにします。与えすぎは水質悪化の原因となるため注意しましょう。もし、餌を与えすぎてしまったときは細かい網で掬って取り除くか、水換えをするようにしましょう。炎天下では一気に水が汚れてメダカがポツポツ死んでしまうことがあります。
水槽の掃除とメンテナンス
- 週に1回程度、水槽内の汚れをスポンジなどで取り除く。
- 水草に付いた汚れを取り除く。
- 水替えを行う(全体の1/3〜1/2程度)。
- フィルターを使用している場合は、定期的にフィルター内のゴミを取り除く。
水槽内に汚れがたまると、水質が悪化してメダカが病気になったり、突然死を引き起こします。こまめな掃除とメンテナンスを心がけましょう。
水槽に入れると良いもの
メダカ水槽に入れると良いものとしておすすめなのが、水草です。水草は、隠れ家になったり、メダカの餌となる微生物が発生するきっかけになったり、産卵場所になることもあります。そのため、メダカ飼育に欠かせない存在です。
- 水質を浄化できる
- メダカの隠れ家や産卵場所になる。
- メダカの餌となる微生物が住み着く
- マツモ:丈夫で育てやすく、メダカの隠れ家に最適。
- ホテイ草:浮き草の一種で、水面を覆い、メダカの日陰を作る。
- アナカリス:背の高い水草で、水中で酸素を供給する。
水草は、種類によって必要な光量や水温が異なります。水草ごとの特性も調べた上で、自分の飼育環境にあった水草を選ぶようにしましょう。
メダカの繁殖と稚魚の育て方
メダカは繁殖力が旺盛で、飼育環境が整えば簡単に繁殖させることができます。ここでは、メダカの繁殖について、産卵時期と条件、産卵床の準備、卵の管理方法、稚魚の育て方を解説します。
メダカの産卵時期と条件
メダカの産卵時期は、水温が18℃以上になる春から秋にかけてです。特に、水温が23〜27℃に安定する時期が最も産卵に適しています。また、日照時間が長くなることも産卵の条件の一つです。
メダカは、オスとメスを一緒に飼育することで自然と繁殖します。繁殖用の水槽や水鉢には、オス1匹に対してメス2匹程度の割合で入れるのが理想的です。
産卵床の準備
メダカは、水草や人工の産卵床に卵を産み付けます。卵が水槽の底に落ちてしまうと、他のメダカに食べられてしまうことがあるため、産卵床の準備が重要です。
- ホテイ草、マツモなどの浮き草
- スポンジや人工の産卵床
産卵床は、メダカが泳ぐ水面近くに設置し、卵を産み付けやすいようにします。
メダカの卵を見つけたらすること
メダカが産卵した卵は、親メダカから隔離して管理する必要があります。メダカの卵を見つけたら、以下の手順で管理しましょう。
- 産卵床ごと卵を取り出し、別の容器に移す。
- 容器には、水槽と同じ水を入れ、エアレーションを行う。
- 水温を23〜27℃に保ち、日光が当たる場所に置く。
- 卵が白く濁っている場合は、取り除く(発生しない卵)。
卵は、産卵後10日〜2週間程度で孵化します。孵化まで、毎日水を換えるようにしましょう。
稚魚の育て方
孵化した稚魚は、親メダカと一緒に育てると大半が食べられてしまうため、別の容器で育てる必要があります。稚魚の育て方のポイントは以下の通りです。
- 孵化直後は、自身のヨーサック(卵黄)を吸収するため、エサは与えない。
- 孵化後3日程度からエサを与え始める。
- 稚魚用の粉末状のエサや、ゾウリムシなどの微生物を与える。
- 稚魚同士で大きさに差が出てきたら、大きい個体と小さい個体を分ける。
- 1日1回程度、容器の水を少量だけ換える。
メダカの稚魚は、成長に合わせてエサの種類や大きさを変えていきます。十分に成長したら、親メダカと同じ水槽や水鉢、ビオトープに移しましょう。詳しくは以下の記事でも詳しく解説しているので参考にご覧ください。
メダカの病気と予防法
メダカは丈夫な魚として知られていますが、飼育環境の悪化や不適切な管理により病気にかかることがあります。ここでは、メダカがかかりやすい病気とその予防法、治療法について解説します。
メダカがかかりやすい病気
メダカがかかりやすい代表的な病気には、以下のようなものがあります。
- ウロコの病気(白点病、コショウ病など)
- 細菌性の感染症(尾腐れ病、鰭腐れ病など)
- 真菌症/ミズカビ病(サプロレグニア症など)
- 奇形(背曲がり、ポップアイ、ハリ病など)
これらの病気は、水質の悪化、エサの与えすぎ、ストレスなどが原因で発生することが多いです。
病気の予防と対策
メダカの病気を予防するためには、日頃から適切な飼育管理を行うことが大切です。以下のような点に注意しましょう。
- 水質を良好に保ち、定期的な水換えを行う。
- エサは適量を与え、食べ残しは取り除く。
- 水温の急激な変化を避け、適切な温度管理を行う。
- 新しく仲間を入れる際は、検疫を行う。
- 水槽内で死んだ魚は速やかに取り除く。
病気の兆候を早期に発見し、適切な処置を行うことも重要です。体色の変化、異常な行動、食欲不振、底でじっとして動かない、泳ぎ方がおかしい、目が腫れているなど、普段と違う様子が見られたら注意が必要です。
薬浴や塩水浴の方法
病気が発生した場合は、症状に合わせた治療を行います。代表的な治療法として、薬浴と塩水浴があります。
薬浴のやり方
- メダカ用の治療薬を使用し、指定された濃度で薬浴を行う。
- 薬浴は隔離容器で行い、薬浴後は新しい水に戻す。
- 薬の種類や濃度、薬浴時間は、症状や薬の説明書に従う。
塩水浴のやり方
- メダカを別の容器に移す
- 塩水は水1Lに対して食塩5gの濃度で作る
- 水が汚れやすいので1日おきに少量の塩水を入れ替える
薬浴や塩水浴は、病気の治療に役立ちますが、メダカにとってストレスとなるため、必要以上に行わないことが大切です。また、なるべく塩水浴・薬浴はメダカの体力がある早期に行なうことが大切です。
メダカ飼育によくある質問
メダカ飼育を始める際には、様々な疑問や不安が生じるものです。ここでは、メダカ飼育に関するよくある質問について、屋内飼育と屋外飼育の違い、水替えの頻度と量、他の生物との混泳、冬越しの方法を中心に解説します。
屋内飼育と屋外飼育の違いは?
屋内と屋外の違いは?
屋内飼育の特徴
- 水温や水質の管理がしやすい。
- 照明や濾過装置などの機材が必要。
- 一年中メダカの観察が可能。
屋外飼育の特徴
- 自然の環境に近く、メダカの生態を観察できる。
- 設備や管理の手間が少ない。
- 季節による水温変化が大きく、冬は冬眠する。
- 害虫や害獣に食べられるリスクがある
飼育スタイルは、自分の好みや生活環境に合わせて選ぶようにしましょう。外の飼育は害虫や害獣に食べられるリスクが非常に高いので網や蓋をする必要があります。
水替えの頻度と量はどれくらい?
水替えの頻度と量はどれくらい?
水替えは、メダカ飼育する上で必ずしなければならないお世話です。水替えの頻度と量は、飼育環境や飼育数によって異なります。
- 1週間に1回程度、全体の1/3〜1/2程度の水を入れ替える。
- 飼育数が多い場合や水質が悪化している場合は、水替えの頻度を増やす。
- メダカが冬眠している間は水替えをせず足し水をする(屋外飼育)
水替えは、メダカにストレスを与えないよう、ゆっくりと行うことが大切です。大幅な水換えは水質の変化によってPHショックなどの死に直結することが発生する可能性があるので注意しましょう。
他の生物と混泳できるの?
金魚とかと混泳できるかな?
メダカは、他の生体と混泳させることができます。しかし、混泳させる生体は同じサイズ、温厚といった条件がマッチしないと一緒に飼育することができません。
メダカと混泳に適した生き物
- エビ(ヤマトヌマエビ、ミナミヌマエビなど)
- 貝(ヒメタニシなど)
水槽のサイズや水質、餌の競合などに注意し、メダカにストレスがかからないよう管理しましょう。
混泳に適さない生き物
- 大型の魚(金魚、鯉など)
- 攻撃的な性質の魚(ベタ、シクリッドなど)
- カメ(メダカを食べてしまうことがある)
金魚やカメは日本で人気のあるペットですが、メダカはサイズが小さいため餌になってしまうことが多いです。したがって、一緒の水槽で飼育することはやめましょう。
特に亀はメダカを生き餌とするケースもあるよ
冬を越す方法は?
冬眠ってどうやるんだろう
屋外飼育の場合、メダカは冬になると冬眠に入ります。冬眠中のメダカは、食事をせず、水底でじっとしています。冬越しの際は、以下の点に注意しましょう。
- 水温が10℃以下になると冬眠に入るため、その時期になったら餌やりを中止する。
- 冬眠中は、水替えや掃除を行わず、メダカを静かに冬越しさせる。
- 乾燥で水が減ったら同じ水温の水を追加する
- 水温が上がり、メダカが活動を始めたら、徐々に餌やりを再開する。
屋内飼育の場合は、ヒーターを使って水温を管理することで、冬眠させずに飼育することが可能です。