アートアクアリウムの金魚はかわいそう?今は実際どうなのか見てきた
アートアクアリウムといえば、金魚をコンセプトに雅な水槽展示をしている美術館です。
もちろん金魚を種類別に展示しているエリアもありますが、基本的に水族館ではないため、同種の金魚をいくつかの展示に用いてアートを完結させる傾向にあります。
金魚の影や色をアートの一部に取り入れることから金魚がよく観察できない水槽も存在します。
今もなおアートアクアリウムに嫌悪感を感じている方もいるかもしれません。しかし、炎上騒ぎになったのは2020年のこと。あれから3年経過した今はどうなっているのかを見てきました。
なぜアートアクアリウムがかわいそうと噂されるのか
2020年に金魚の管理問題で大炎上
アートアクアリウムの歴史は古く、2007年から全国〜海外へと巡回展示を繰り広げています。
イベント開催ごとに、かわいそうな展示会と言われてきましたが、おそらく最も荒れたのは2020年の日本橋での展示会です。
2020年には銀座に初めて常設展示のアートアクアリウム美術館がオープンしました。
暗がりの空間に金魚と鮮やかな照明や容器を掛け合わせた展示が話題で、SNS映え間違いナシとしてテレビを始めとするメディアで反響を呼び、多くの方が来場しました。
ただ、話題性とは裏腹に金魚の飼育管理が問題視され、テレビをはじめとする多くのメディアで非難されることになりました。
「病気の金魚ばかりだった」日本橋アートアクアリウム美術館に指摘も無視で炎上 – NAVER まとめ https://t.co/6v35K5V690 9月2日に訪れた客「きれいな映画を見に行ったらゾンビ映画を見せられたようなもの」 #スッキリ #アートアクアリウム pic.twitter.com/J2vU7p2TqE
— fmokokおいぴ (@rikakoal) September 9, 2020
飼育者ならわかる病気の金魚たち
反響が多い分、展示される金魚たちの健康状態にも目がいくことは避けられません。
2020年の展示の際は、魚を飼育したことがある人ならわかる、「白点病」や「尾ぐされ病」を発症した金魚が多くいることが話題になり、金魚の生き物としての尊厳が失われている、金魚が商売道具にしかなっていないといった意見が飛び交い、生き物への管理体制が悪いことで炎上する事態となりました。
かわいい子たちですが、もう助からないと思います。比較的大丈夫そうな水槽もあったのですが概ね、プカプカしている金魚が浮いている感じでした。死のアートアクアリウム。#アートアクアリウム#劣悪な飼育環境の改善を求めます pic.twitter.com/4ipBxLidwX
— 虎徹 (@kingyokotetsu) September 2, 2020
白点病や尾ぐされ病の原因のほとんどは水質悪化や治療されないことによる集団感染が原因です。また、悪化すれば金魚は簡単に死んでしまう病気です。
生き物(金魚)がいつ死んでもおかしくない状態で展示され続けることに抗議の声が上がりました。
アートに生きた魚を取り入れる事に対する意見
アートアクアリウムは美術館であって水族館ではないため、どうしても照明や音響が主体となってしまいます。
レイアウトの多くは金魚が隠れる場所もなく、むき出しの混泳状態です。少なくとも1日のうち9時間(営業時間)は「金魚のためとは言い難い環境」で過ごすことになります。
展示の中には金魚がほぼ見えず、中に金魚を入れる必要ある?と失笑してしまいそうになる作品もありました。
アートに無理やり生き物を起用されることに対して「かわいそう」、「残酷」という意見も現在まで度々見られる意見です。
2023年時点のアートアクアリウムの様子は?
変わらず多い飼育数
入口から琉金などの金魚が多く入った筒状の水槽が入館者を迎えます。
飼育数は写真で見るとおり、多いのですが、上層を泳ぐ個体が多い分、下層にはかなりスペースが空いており、意外とゆとりがあるように思えました。
「一体どれだけの水槽があるんだ」と思えますが、鏡の反射でいくつもの水槽があるように見えるだけなので実際は写真の半分の数の水槽が並んでいます。
近くで一通り金魚を見る限り、健康状態も良好に見えます。展示されている個体を見る限り、昔のように「死のアートアクアリウム」とは言われることはないでしょう。
健康状態が怪しい水槽
粗探しをしているわけではありませんが、ヒレ長金魚の水槽はヒレのスレが目立つ個体がチラホラ見かけられました。
水槽はオーバーフローになっており、水質は良好のように見えますが、ヒレ長の多頭飼育は傷つけやすいこともあるので「少し無理してる水槽かも」という印象です。
金魚の品種別の展示は水がピカピカ
アートアクアリウム唯一の金魚の名称を添えた展示エリアです。品種別に展示される水槽全てがオーバーフローなため、水はピカピカです。
横から見ると金魚が浮いているように見えるほどです。
上見を楽しむエリアのため、隠れ家が一切ありませんが、健康状態が割と良い個体が多い印象です。
多くの品種が小ぶりなため、長期飼育で残っている個体は少ない可能性もあります。飼育容器のサイズから大きくなったら引越しということも考えられます。
金魚不要に感じるエリア
アートアクアリウムでは、この水槽に金魚入れる必要ある?と思う展示作品が多い印象を受けました。
例えば、フォトスポットに指定されている所は外国人やSNS映えのために来客した人がひっきりなしに立つため、写真写りを邪魔してはいけない空気ができあがり、金魚を間近で見るには周りを気にしない鋼の心臓を持ち合わせるしかありません。
アートアクアリウムの代表的な作品ですが、フォトスポットに指定されていることもあり、間近で見る人はほとんどいません。
水槽内も薄暗いので正直に言えば生きた金魚でなくても成立するように思えます。
このアート作品は筒状の周りを歩いて見回れるのですが、入口がフォトスポットになっていることもあり、周回することは実質不可能になっています。
もはや目の悪い人からすれば金魚がいることが分からないくらいなので入れる必要はないのかもしれません。
青い光の時は「ホルマリン漬けにされた金魚たち」のような印象すらうけます。
こちらも同様にアートアクアリウムの代表的な展示作品のひとつ。光と滴る水が魅力的ですが、「金魚がいることで幻想的」となる人が果たしてどれだけいるか、という印象も受けます。
一瞬葬式の会場にでも来たのかと困惑するような麻の葉模様の水槽が並びます。
出口とお土産売り場が目の前に見えるので、大きな水槽を通り抜けた人の多くはスルーしがちな作品でもあります。
金魚が中にいるのですが、もはや麻の葉がびっしりと刻まれているため、覗き込まないと見ることはできません。
また、覗き込んだところでオレンジの光に照らされているので、金魚の本来の色はほとんど分かりません。果たして、この水槽に金魚を入れる必要があったのか疑問にさえ感じます。
大袈裟にするほどかわいそうな状況ではないが…
全身真っ白になるほどの白点病になった個体や息絶えだえの金魚はさすがにいませんでした。以前よりも金魚に対する品質管理は向上したと言えます。
また、現在SNSではアートアクアリウムに関してかわいそうという意見もほとんどなく、一過性の炎上だったことが分かります。
とはいえ、生命の宿る美術館をコンセプトにしているため、定期的に生き物をアートに組み込んで良いのか、観賞魚としての歴史(鑑賞のための飼育技法を含む)とアートを混同すべきかは問われ続けそうです。
アートアクアリウムの概要
Webでのチケット購入がお得
アートアクアリウムのチケットは現地で購入するよりも公式サイトから購入する方が2500円から2300円になるため、200円お得になります。
当日入る直前でも購入が可能ですが、クレジットカード決済になるので、現金しか使えない場合は現地購入しかありません。
所要時間は1時間程度
水族館ではなく美術館なため、生体をじっくり観察するのとは系統が違います。また、絵画や造形物といった作品そのものを凝視する系統とも違うように思えます。
どちらかというと全体を俯瞰してみる作品が多く、写真映えを求める客層が多いことから流動が早いため、ゆっくり見て回っても1時間程度で満足できるでしょう。
銀座にいたら他におすすめのアクアリウム関連のお店
東急プラザ銀座ADALAB
東急プラザ銀座に常設で入っているADALABはアクアリウムやパルダリウムに関する商品や水草をはじめとする植物を購入することができます。
また、展示水槽も美しい作品が多いので、商品を買わなくても展示水槽を見に行くのもおすすめです。ネイチャーアクアリウムを題材とした作品なので、水草や熱帯魚の発育がとても良い状態です。
パウパウアクアガーデン銀座店
パウパウアクアガーデン銀座店は銀座駅から徒歩9分とやや離れた場所に位置する本格的なアクアショップです。2階建てで敷地が広いため、水草や熱帯魚、レイアウト用品、アクア用品が豊富に揃っています。
都心のアクアショップでも5本の指に入るほどの品揃えと言っても過言ではないので、アクアリウムガチ勢やアクアリムを始めてみたい人は行ってみる価値があります。
近くには東銀座駅があるので、パウパウアクアガーデン銀座店から別の場所へ行く時もアクセスは良いです。