ベタ飼育は難しい?飼育に必要なものとおすすめの初心者セットを紹介
ベタはヒレが大きく発色が美しい熱帯魚です。小型魚と比べて飼育しやすく初心者でも手頃に飼える観賞魚として人気があります。また、ベタは飼い主に慣れると餌以外でも相手をして欲しいと甘える姿を見せるのでとても愛着が湧きやすい一面もあります。本記事では初心者でも飼える方法や必要なもの、混泳ができるのかどうか、おすすめの飼育セットやベタの種類を紹介していきます。
ベタはどんな熱帯魚?コップでも飼える?
ベタの情報 | |
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分類 | スズキ目 キノボリウオ亜目 |
学名 | Betta |
和名 | 闘魚(トウギョ) |
大きさ | 5cm 7〜10cm(ジャイアント) |
寿命 | 1年〜5年 |
育成難易度 | |
温度 | 20〜28度 |
水質 | 5.0〜7.0 6.0〜8.0 |
硬度 | 1〜10 |
繁殖 | 泡巣で育成 |
参考価格 | 60円〜 品種によって大きく変動 |
ベタを飼うなら単独飼育
ベタは闘魚と言われており、同種での混泳が難しい魚です。初めてベタを飼育するなら単独飼育をおすすめします。他の群れで動く熱帯魚とは取扱が違うので1匹を生涯しっかり飼育できる環境を用意しましょう。
もし繁殖を狙いたいと思うなら水槽をもう1つ用意する必要があります。仮に繁殖行動に失敗した時、どちらかを犠牲にしなくてはならないということにもなりかねません。その環境が用意できないのならもう1匹飼うことは絶対にしないようにしましょう。
ラビリンス気管を持っている
ベタはラビリンス気管といってエラが他の魚と比べて大きく発達したものを持っており、空気中からも酸素を取り込むことができます。したがって、ブクブクがなくても飼育することが可能です。
ただ、エアレーションをしている方がストレスは掛からないのでエアレ添加はしたいところ。また、小さな水槽でも飼育できると言われ、実際に物のようにコレクションされがちですが、水質が悪化しやすいためできるだけ水量の多い水槽での飼育が理想的です。
フレアリングの姿が美しい
ベタといえば大きなヒレや多彩な色合いが特徴の熱帯魚(淡水魚)ですね。特に表立ったレイアウトを組まなくても鮮やかな体色を見せてくれ、フレアリングといってヒレを全て伸長させる姿は圧巻です。
ベタの寿命は何年?
ベタの寿命は1年半〜5年と環境や品種による振り幅が広い魚です。老体になると泳ぐことをやめて物の上に留まって休むことが増えたり、フレアリングをしなくなったり、泡巣を作らなくなったりします。販売されている段階で劣悪な環境にいるとお迎えしてもすぐに死んでしまう場合もあります。
ベタの飼育方法と混泳について
ベタが食べる餌
ベタは割となんでも食べてくれるので餌選びには困りません。おすすめはベタ用の顆粒タイプの餌。こちらは1日に2回ほど5粒程度あげるといった個数管理ができるので水質悪化を防ぐことができます。
基本的に他の魚とは混泳しない
ベタは形状が違うタイプであっても混泳はNGです。混泳できる個体も稀に存在しますが、ある日バチバチに喧嘩してお互いがボロボロになる場合もあります。そのためベタを同じ水槽に入れるのはやめましょう。もし同じ水槽で管理したい場合は仕切りを設けるなどしましょう。
また、ベタだけでなくシクリット系やバジスバジスといったベタに近い種類は喧嘩が置きやすいです。他の種類でも混泳する中で障害が起きることが多いので基本は単独飼育が良いです。
水流は弱めに設定しよう
ベタはプラガットなどのヒレの短いタイプ以外は水流に弱いです。フィルターはスポンジフィルターにするか、水量に対して水流が強くならない程度の物を選ぶと良いでしょう。
毎日フレアリングをしよう
ベタ飼育の醍醐味と言えるフレアリング。フレアリングとはヒレを全力で広げて威嚇する行為を指します。普段泳いでいる姿も十分ヒレが大きいですが、フレアリングをしている時は選ぶ部分も全力で広げるので全く違うことが分かるはずです。
フレアリングを1日3〜5分程度することでヒレ全体が伸長し、ヒレの癒着を予防することが出来ます。また、ストレス発散にもなるのでコミュニケーションとして鏡を見せたり、ボールペンの先を見せたりして相手をしてあげましょう。
ベタを飼育する環境作り(レイアウト)
尖った流木や石の使用を避ける
ベタの形状は数多ありますが、どの種も基本的にヒレが大きいため尖った石や流木があるとヒレが切れてしまう原因にもなります。水草水槽などのレイアウトでベタを飼育することも十分可能ですが三角構図などを作る際は鋭角な流木や石は使わないようにしましょう。
水量はできるだけ確保したい
ベタはコレクションが高い魚なため非常に小さい水槽で収納される方もいるのは事実。実際にアクアショップではミニタッパや小さい袋に詰められて販売されていることが多いです。
この状態で飼育し続けるのは無理なのでちゃんと広めな水槽を用意してあげましょう。水量は平和的に飼育するなら最小でも7L〜10Lくらいは欲しいです。(コレクション水槽は3Lの容量です)
飛び出し防止の蓋をしよう
ベタはヒレが長いのに対して水面に飛ぶジャンプ力はある魚。水槽を購入した際にガラス蓋がついていると思いますが、必ず蓋をするようにしましょう。蓋をしていないと飛び出して死んでしまうことも起きえます。付属する水槽の蓋以外にもプラ板で空きスペースを埋めるなど工夫をしましょう。小さな隙間からも飛び出してしまいます。
休憩できる場所を作ろう
ベタはずっと泳いでいるわけではなく、泳がずにどこかに座り込むように休むことが多いです。寝ている時も浮いているのではなく木の上や葉っぱの上、ソイルの上などに見えを預けることがほとんど。
レイアウトを組んでいない場合はおやすみリーフなどをくっつけましょう。
ブラックウォーターを好む
ブラックウォーターとはタンニンが溶けこんだ低pHの水。マジックリーフやヤシャブシの実を入れることで実現することができます。ワイルド個体(野生)は5.0〜7.0を好む傾向があり、ブリード個体(繁殖)は6.0〜8.0を好む傾向にあります。
ベタを飼育する環境作り(必要なもの)
初心者におすすめの水槽
こちらは7Lまで入る20cm四方の水槽です。水量はそこそこ入るため、良い環境づくりが可能。15cm水槽になると水量は約半分ほどまで落ちるので水質悪化などの懸念点が出てくるので注意。
ベタ飼育におすすめのフィルター
水槽内の水を定期的に変えるのでフィルターを設置しないという方もいますが、フィルターを設置しない管理はやはり水質悪化しやすいです。また、油膜も起きやすいので上記のようなフィルター兼、エアーレーションは必要です。
上記のフィルターにはエアーポンプが必要ですので忘れずに購入しておきましょう。
冬場はヒーターを設置しよう
10月ごろから気温が一気に落ちるため、部屋の温度に合わせて水温も低下しがち。水温が下がると消化不良など病気の原因が起きるのでヒーターは必須。水槽のサイズに合わせて選びましょう。上記の水槽に合うヒーターはこちら。
夏場はファンを取り付けよう
5月ごろから気温が大きく上がっていくため、ヒーターからファンへと移行していきましょう。水温が30度前後になると二酸化炭素濃度が上がり水質悪化が進んでしまいます。
小型水槽はファンで十分水温を下げることができますが、あまりに部屋が暑いと水温を28度以下にすることが難しくなります。夏場はできるだけ気温が上がり過ぎない部屋に水槽を置いてあげることが大切です。
ベタの餌
餌はあげ過ぎないように注意しましょう。餌の消費は激しくないので開けてから短い期間で使い切るように小さいものを選ぶのが良いです。使用期限は長く表示されているものの、開封すると酸化が進んでしまい消化不良の要因にもなります。
ベタの飼育・病気の対策と対処
水質変化には弱い
ベタは水質変化に強いなど言われますが、水質が悪化すると大きなヒレが癒着してしまったり、ピンホールといってヒレに穴が空いてしまうことがあります。
また、転覆病になると正常に戻すことがほぼ出来ないので常に綺麗な環境を提供してあげる必要があります。週1〜2に水換えをするなどルーティンを作りましょう。また、ヒーターやクーラーも必要不可欠です。
フレアリングをしない場合
ベタは個体によって飼育環境に慣れてしまうとフレアリングをしなくなる子が出てきます。また、鏡を見せても自分だと分かる子はフレアリングをしないケースもあります。
ずっとフレアリングしないのは健康に良くないので、以下の内容を試してみましょう。
- 違うベタの画像を見せる
- 違うベタの動画を見せる
- ボールペンやシャーペンの先を見せる
- ベタの人形を見せる
- 生きたベタを水槽越しに見せる
以上の内容を試してもダメな場合はあります。年老いたベタなどはフレアリングをしなくても元気に泳ぎ回るので日々の観察からフレアリングが必要かしなくても大丈夫かを判断しましょう。
転覆病の対策
ベタは転覆病になってしまうことがあります。転覆病になると潜ることができず、身体が曲がったように浮いてしまうといった痛々しい姿になってしまいます。
治療を行って回復することは難しく、生きながらえても昔のように泳ぎ回ることが出来なくなるケースもあります。
古い餌・消灯時の給餌はしない
転覆病は消化不良によって起こる場合があるので開封から数ヶ月経った古い餌や睡眠時間にあたる時間に餌を与えることは避けましょう。
糞をちゃんとしているか確認する
ベタ水槽を見る際はうんちをしっかり出しているかも確認しましょう。便秘気味になった場合は2〜3日断食することで解消される場合があります。
その他魚の病気
見た目は身体に白い点が増えていく病気です。寄生虫が原因で水槽内の魚への繁殖力は強いです。導入時に合わせて水槽内に唐辛子を入れておくと初期治療や予防ができ、水草にも影響がないためおすすめ。気になる場合はヒコサンZやアグテン、メチレンブルーで1週間別水槽で薬浴してから水槽に加えるのが最も安全。
ヒレがバサバサとボロボロになっていく病気。魚の風邪とも言われるくらい発症しやすい病気でもあります。塩浴をすると悪化するので注意。適度な水換えをしつつ放置しておいても治りますが、気になるようなら隔離水槽でヒコサンZなどを使って薬浴しましょう。
体全体に白い細かな粒々が付き、コショウをふりかけたような姿になるコショウ病。「ウーディニウム」という藻が身体に寄生することで発症する。初期症状児はアグテンやヒコサンZを使用し、進行が進んでいる場合はグリーンFゴールドやエルバージュエースで治療していきましょう。
ベタの種類と育成難易度
ハーフムーン
ベタハーフムーンは大きなヒレが特徴的で様々な色の組み合わせもある魅力的な種類。一目惚れで飼うことを決める人も多いのではないでしょうか。育成の基本は変わりませんが、ヒレの美しい状態をキープするのは難易度が高めです。自慢な子に育て上げるのも醍醐味のひとつ。
プラガット
ベタの中でもヒレが短く、原種に近いと言われています。他の種類と比べて攻撃的な一面が強く、かなりワイルド(ここでは気性的な意味)。ワイルド種(野生)は非常に人気が高く高価です。
トラディショナル
ベタのトラディショナルはブリード個体の流通量が多くアクアショップでは60円ほどで売られていることも珍しくないほど安価。平均して300〜400円、高くても1500円ほどといった具合。結構ガサツに売られていることもある不遇な種類ですが、入門ベタとしても人気があります。ヒレが大きいので欠けなど起きないよう育てることで美しい姿になりますよ。
ダブルテール
一見するとベタハーフムーンと見た目が変わらないのでは?と思う方もいるかもしれません。よく見ると尾ひれがふたつに割れており、伸長するとハート型になる個体も。ダブルテールとハーフムーンを掛け合わすことでフルムーンというヒレが大きい個体を生むこともできます。ヒレのキープが難しいです。
クラウンテール
クラウンテールは他のベタたちと形状かなり異なるのが特徴で、王冠のようなギザギザのヒレの容姿から由来しているとか。クラウンテールはプラガットばりに好奇心や攻撃性が強いかなぁと飼育してて思います。ヒレの欠損など起きづらいというか、目立ちにくいので見た目の維持も割と簡単。
ベタの飼育まとめ
ベタは美しく小型である姿から物のようにコレクションされがちな生体。本当に1匹を相棒のように大事に飼育する人もいればギャラリー感覚で複数飼いする人もいるなど倫理観が問われる熱帯魚でもあります。このような背景もあってかショップではどう考えても辛いであろうミニカップに詰められて弱っている個体も多く見受けられます。
できることなら快適な環境で伸び伸び泳がせてあげたいと思いますが、皆さんはどうでしょうか?迎え入れるなら家族として捉え、良い環境を整えてあげたいと筆者は思いますがあなたはどうですか?